「60歳で定年。再雇用もあるけれど、正直もう辞めたい…」
「60代でも失業保険ってもらえるの?年金と両方もらえる?」
60代前半は、定年、再雇用、そして年金の受け取りが重なる時期です。長く働いてきたからこそ、「これからどうするか」で迷うのは当然のこと。あなただけではありません。
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、1年間に会社を辞めた人の割合は15.4%。年齢にかかわらず、働き方を見直すことは珍しいことではありません。
この記事では、60〜64歳で退職したときの失業保険(雇用保険の基本手当)について、何日分・いくらもらえるのか、定年と自己都合で何が違うのか、年金との関係まで、厚生労働省・ハローワークの資料をもとに図でやさしく解説します。はじめての退職でも大丈夫ですよ。
60〜64歳でも失業保険はもらえる?まず知っておきたい3つの条件
結論から言うと、60〜64歳でも条件を満たせば失業保険を受け取れます。ハローワークによると、主な条件は次の3つです。
60〜64歳の失業保険は何日分?いくら?
受け取れる日数(所定給付日数)は、辞めた理由と雇用保険に入っていた期間で決まります。厚生労働省の資料をもとにまとめると、次のとおりです。

1日あたりの金額は「賃金日額の45〜80%」
ハローワークによると、1日あたりの金額(基本手当日額)は、辞める前6か月の給料(賞与を除く)を180で割った「賃金日額」のおよそ45〜80%です(60〜64歳の場合)。給料が低い人ほど、高い割合になります。
また、60歳以上65歳未満の基本手当日額には上限1日7,830円があります(令和8年8月1日現在。上限額は毎年8月に見直されます)。60歳以降に再雇用で給料が下がっている場合は、下がったあとの給料で計算されることも覚えておきましょう。
年齢・加入期間ごとの日数の全体像は失業給付は何日分もらえる?所定給付日数でも解説しています。
定年退職と自己都合退職、3つのちがい
同じ60代の退職でも、「定年」と「自己都合」では扱いが変わります。
| 項目 | 定年・契約期間満了 | 自己都合 |
|---|---|---|
| 支給が始まるまで | 7日間の待期のあと | 7日間の待期+給付制限(原則1か月)のあと |
| 日数 | 90〜150日 | 90〜150日 |
| 休養したい場合 | 60歳以上の定年等なら受給期間を最長1年延長できる | この延長の対象外 |
厚生労働省の資料によると、定年や契約期間満了で離職した人は、7日間の待期が終わればすぐに支給の対象になります。一方、正当な理由のない自己都合退職は、令和7年4月1日以降の離職なら原則1か月の給付制限があります(過去5年間に3回以上自己都合で辞めている場合は3か月)。くわしくは失業給付の給付制限とは?をご覧ください。
定年後の再雇用で働いている人は?
60歳以降に有期契約で再雇用されている場合、契約期間が終わって辞めるのか、契約の途中で自分から辞めるのかで離職理由が変わることがあります。離職理由は離職票をもとにハローワークが判断するので、退職前に契約書の期間を確認し、迷ったら住まいを管轄するハローワークに相談しておくと安心です。
失業保険と年金はどちらを選ぶ?2つの判断ポイント

ポイント1:65歳までの年金と失業保険は同時にもらえない
日本年金機構によると、65歳になるまでの老齢年金と失業保険は同時には受け取れません。ハローワークで求職の申し込みをした月の翌月から、失業保険を受け終わる(または受給期間が終わる)月まで、年金が全額止まります。止まるのは「特別支給の老齢厚生年金」や繰上げた老齢厚生年金で、繰上げた老齢基礎年金は止まりません。
ただし、いま60〜64歳の男性は特別支給の老齢厚生年金の対象外で、女性も生年月日によって受け取れる年齢が違います(くわしくは60〜64歳で退職したら年金はいつから?)。年金をまだ受け取れない人は、この調整を気にする必要はありません。
ポイント2:年金を受け取れる人は、金額をくらべて決める
年金と失業保険のどちらを受け取るほうがよいかは、人によって違います。年金の月額は「ねんきん定期便」や年金事務所で、失業保険の金額はハローワークで確認し、くらべてから決めましょう。
しばらく休みたいなら「受給期間の延長」を2か月以内に
失業保険を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間です。この1年を過ぎると、日数が残っていても受け取れなくなります。
「長年働いたから、まずはゆっくりしたい」という方のために、60歳以上の定年等で離職した人は、休養したい期間(最長1年)だけ受給期間を延長できます。厚生労働省の資料によると、申請期限は離職日の翌日から2か月以内で、この期間を過ぎると原則として承認されません。
⚠️ 延長の申請で気をつけたいこと
・対象は60歳以上の定年等による離職です。自己都合退職は対象外です。
・申請には離職票が必要です。離職票がなかなか届かないときは離職票が届かないときの対処法を参考にしてください。
・病気やけがで働けない場合は、別の延長制度(最長3年)があります。
64歳と65歳、どちらで辞める?
65歳の誕生日の前々日までに辞めると「基本手当」(90〜150日分)、それ以降に辞めると「高年齢求職者給付金」(加入1年以上で50日分、1年未満で30日分の一時金)の対象になります。一方で、日本年金機構によると失業保険との調整があるのは65歳になるまでの老齢年金です。
どちらが自分に合うかは、年金の受け取り状況や次の仕事の予定によって違います。65歳以上の給付については65歳以上の雇用保険と高年齢求職者給付金で解説しています。
よくある質問Q&A
Q. 再雇用を断って60歳で辞めても失業保険はもらえる?
A. 働く意思があり、加入期間などの条件を満たしていれば受け取れます。定年での退職か自己都合かは、離職票をもとにハローワークが判断します。
Q. 60代でも求職活動は必要?
A. はい。年齢に関係なく、失業の認定を受けるには原則として認定日ごとに求職活動の実績が必要です。ハローワークの職業相談も実績になります。
Q. 退職金をもらっても失業保険は受け取れる?
A. 賃金日額は「毎月きまって支払われた賃金」で計算され、賞与などは含まれません。退職金を受け取ったことだけで失業保険がもらえなくなることはありません。
それでも一人では不安な方へ
定年、再雇用、年金、失業保険。60代の退職は、考えることが一度にたくさんありますよね。「長年お世話になった会社に、辞めたいなんて言いにくい」と感じている方もいるかもしれません。
でも、これからの働き方を自分で選ぶのは、あなたの当然の権利です。民法第627条でも、期間の定めのない雇用なら、退職の意思を伝えてから2週間で契約は終わるとされています。迷うのは、あなたがまじめに考えている証拠。あなたは何も悪くありません。
セルフ退職サポートでは、退職の伝え方から、失業保険・年金・健康保険の手続きの順番まで、あなたの状況に合わせてLINEで無料相談を受け付けています。
まとめ|60〜64歳の失業保険は「辞め方」と「年金」で決まる
- 60〜64歳でも、加入期間と働く意思があれば失業保険を受け取れる
- 定年・自己都合なら90〜150日分、会社都合などなら90〜240日分。1日あたりは賃金日額の45〜80%(上限7,830円)
- 定年・契約期間満了は給付制限なし。自己都合は原則1か月の給付制限あり
- 65歳までの老齢厚生年金と失業保険は同時に受け取れない。年金を受け取れる人は金額をくらべて選ぶ
- 定年後に休養したいなら、離職日の翌日から2か月以内に受給期間延長(最長1年)を申請
長く働いてきたあなたが、次の一歩を安心して選べるように。一歩踏み出す勇気を応援しています。


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