「失業保険の手続きをしたばかりなのに、もう内定が出た。このまま入社して大丈夫?」
「入社日を少し遅らせたほうが得なの?それとも早いほうがいいの?」
次の仕事が決まりそうなとき、うれしい気持ちと同時に、こんなモヤモヤを抱えていませんか?せっかく決まった仕事なのに、手続きのタイミングを間違えて損をしたら……と考えると不安になりますよね。
先にお伝えしておくと、再就職そのものは、いつしても法律上の問題はありません。ただし、早く就職した人がもらえる一時金「再就職手当」は、内定をもらった時期と入社した日によって、もらえるかどうかが変わります。
この記事では、東京労働局ハローワークと北海道労働局ハローワークが公開している支給要件をもとに、「内定・入社はいつならOKか」を時期別の図で整理し、再就職手当の8つの条件、入社日と金額の関係、内定が出てから申請するまでの5つのステップをわかりやすく解説します。
「はじめての転職で、失業保険のこともよく分からない」という方でも大丈夫。順番に読めば、あなたが今どの時期にいて、何に気をつければいいかが分かります。
失業保険をもらっている途中で再就職してもいい?まず結論から
失業保険(正式には雇用保険の「基本手当」)は、次の仕事が見つかるまでの生活を支えるための制度です。なので、受給の途中で就職が決まるのは、制度が想定しているいちばん良いゴールです。「最後までもらい切らないと損」ということはありません。
むしろ国は、早く再就職した人を後押しするために「再就職手当」という一時金を用意しています。
法律上の位置づけ
再就職手当は、雇用保険法第56条の3に定められた「就職促進給付」のひとつです。失業保険の給付日数を一定以上残して安定した仕事に就いた人に、残りの日数に応じた金額がまとめて支給されます。
ただし、この再就職手当には「いつ内定をもらったか」「いつ入社したか」「どうやって見つけた仕事か」というタイミングの条件があります。ここを知らずに入社日を決めてしまうと、本来もらえたはずの手当が対象外になることも。次の章で、時期ごとに整理していきます。
内定・入社はいつならOK?5つの時期別に整理
再就職手当のルールは、退職前・退職後(申請前)・申請後のどこで内定が出たか、どこで入社したかによって変わります。まずは全体像を図で見てみましょう。

ここからは、図の5つの時期をひとつずつ詳しく見ていきます。
① 退職前(在職中)に内定が出た場合
今の会社に在籍しているうちに次の会社から内定をもらった場合、その会社に入社しても再就職手当は対象外です。再就職手当の条件に「受給資格決定日より前に採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと」があるためです(北海道労働局ハローワーク「再就職手当の支給は」より)。
「受給資格決定日」とは、ハローワークで求職の申し込みをして、失業保険をもらえる資格が確認された日のこと。つまりハローワークで手続きする前に決まっていた就職先は、再就職手当の対象にならない、ということです。
さらに、退職してすぐ次の会社に入社する予定なら、そもそも「失業の状態」ではないため、失業保険(基本手当)自体も原則として受け取れません。
② 退職後、ハローワークで申請する前に内定が出た場合
会社を辞めてから、ハローワークに行くまでの間に内定が出た場合も、①と同じ理由でその会社への就職は再就職手当の対象外です。
また、内定が出ている状態でハローワークに申請する場合は、そのことを必ず窓口で伝えてください。就職が決まっているかどうかは失業保険を受け取れるかどうかに直結するので、隠してしまうと後で大きな問題になります。
⚠️ 手続きは早めがおすすめ
退職後、転職活動を始めるなら、先にハローワークで求職の申し込みを済ませておきましょう。申し込み(受給資格決定)のあとに出た内定であれば、再就職手当の対象になる可能性が出てきます。申請の流れは受給資格の決定とは?ハローワーク手続き完全ガイドで解説しています。
③ 申請後、待機期間(最初の7日間)の場合
ハローワークで申請した日から通算7日間は「待機期間(待期)」と呼ばれ、本当に失業の状態にあるかを確認する期間です。
この期間に内定をもらうこと自体は問題ありません(受給資格決定日以降の内定なので)。ただし、待機期間中に入社して働き始めると、再就職手当は対象外になります。条件に「待期が経過した後、職業に就いたこと」があるからです(東京労働局ハローワーク「就職促進給付に関するQ&A」より)。
④ 待機明けの1か月(給付制限がある人)の場合
自己都合で退職した人などは、待機期間のあとに「給付制限」という、基本手当がまだ支給されない期間があります。2025年4月以降に退職した人は、原則1か月です(くわしくは失業給付の給付制限とは?2025年4月改正で1ヶ月に短縮)。
給付制限がある人が待機明けから1か月の間に就職する場合は、再就職手当をもらうために追加の条件があります。
この1か月だけの追加条件
ハローワーク、または許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で就職したこと。
北海道労働局ハローワークの案内では、「ハローワークの求人を見て、紹介を受けずに直接応募した場合」もこれに当たらない、と明記されています。
つまり、この期間に求人サイトや会社のホームページから自分で直接応募して入社すると、再就職手当は対象外です。逆に、ハローワークの窓口で紹介状を出してもらって応募した会社や、国の許可を受けた転職エージェントから紹介された会社であれば、条件を満たせます。
なお、会社都合の退職などで給付制限がない人は、この追加条件はありません。待機の7日間が明ければ、どのルートで見つけた仕事でも対象になり得ます。
⑤ それ以降(受給中)の場合
待機明けの1か月を過ぎれば、自分で見つけた会社に直接応募して入社した場合でも、再就職手当の対象になります。
この時期にいちばん気をつけたいのは「残りの給付日数」です。入社日の前日の時点で、失業保険の給付日数が3分の1以上残っていないと、再就職手当はもらえません。受給がかなり進んでからの入社だと、この条件を満たせないことがあります。
再就職手当をもらうための8つの条件
ここまでの「タイミング」の条件も含めて、再就職手当の要件を一覧にしておきます。東京労働局ハローワークの「就職促進給付に関するQ&A」では、次の8つをすべて満たしたときに支給されると案内されています。
| No. | 条件 | かみ砕くと |
|---|---|---|
| 1 | 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上 | 給付日数が3分の1以上残っている |
| 2 | 1年を超えて引き続き雇用されると認められること | 長く働く前提の仕事 |
| 3 | 採用の内定が受給資格決定日以降であること | ハローワークで手続きした後の内定 |
| 4 | 待期が経過した後に職業に就いたこと | 入社は7日間の待機が明けてから |
| 5 | 給付制限を受けた場合、待期満了後1か月間はハローワーク等の紹介で就職したこと | 自己都合なら最初の1か月は紹介経由のみ |
| 6 | 離職前の事業主または関連事業主に雇用されたものでないこと | 前の会社やそのグループ会社への出戻りはNG |
| 7 | 過去3年以内の就職で再就職手当・常用就職支度手当を受けていないこと | 3年以内に一度もらっていたらNG |
| 8 | 雇用保険の被保険者資格を取得していること | 雇用保険に入る条件で働く |
「1年を超えて雇用される見込み」については、契約期間が1年以下でも、1年を超えて更新されることが確実と認められる場合は含まれると北海道労働局ハローワークは案内しています。契約社員などで迷う場合は、雇用契約書を持ってハローワークで確認してみてください。
入社日が早いほど多くなる|支給率は60%か70%の2段階
「入社日を遅らせたほうが、失業保険をたくさんもらえて得なのでは?」と考える人もいるかもしれません。でも、再就職手当は残っている給付日数が多いほど、支給率も金額も上がる仕組みです。

東京労働局ハローワークの案内による計算式は次のとおりです。
- 支給残日数が3分の2以上:支給残日数 × 70% × 基本手当日額
- 支給残日数が3分の1以上:支給残日数 × 60% × 基本手当日額
たとえば所定給付日数が90日で、基本手当日額が5,000円の人なら、残り65日で入社すると5,000円×65日×70%=22万7,500円、残り40日なら5,000円×40日×60%=12万円です。同じ人でも、入社のタイミングで10万円以上の差が出ることがあります。
なお、給付制限の期間中は給付日数が減らないので、給付制限中に(紹介経由で)就職した人は、給付日数がまるまる残った状態で計算されます。また、基本手当日額には年齢ごとの上限があり、毎年8月1日に改定されます。
内定が出たらやること5ステップ
内定が出たあとの流れを、順番どおりに並べました。「何から手をつければいいの?」と迷ったら、上から一つずつ進めてください。
⚠️ 申請した後すぐ辞めると対象外になることも
北海道労働局ハローワークの案内では、支給申請後にハローワークが調査を行う時点で、再就職先をすでに辞めていないことも要件のひとつとされています。
よくある質問Q&A
Q. 入社日を遅らせたほうが得ですか?
A. 多くの場合、早く入社したほうが再就職手当の支給率・金額は上がります。ただし、待機期間中の入社は対象外になるので、待機明け以降で調整しましょう。
Q. 転職エージェント経由の内定は「紹介」に入りますか?
A. 国の許可・届出のある職業紹介事業者から紹介された場合は対象になり得ます。そのエージェントが許可を受けているかは、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で確認できます。求人サイトで自分から直接応募した場合は「紹介」には当たりません。
Q. 試用期間がある会社でも大丈夫?
A. 試用期間があっても、1年を超えて働く前提の雇用であれば対象になり得ます。契約内容は雇用契約書や労働条件通知書で確認しておきましょう。
Q. 前の会社に戻ることになったら?
A. 離職前の会社や、資本・人事などで密接な関係にある会社への再就職は、再就職手当の対象外です。
Q. 入社まで期間があるとき、アルバイトはしてもいい?
A. ルールを守って申告すれば可能です。時期ごとの注意点は失業保険の受給中にアルバイトはできる?4時間ルールと申告の方法で解説しています。
それでも一人では不安な方へ
ここまで読んで、「自分は今どの時期なんだろう」「この内定先は対象になるのかな」と、まだ少しモヤモヤしている方もいるかもしれません。
再就職手当の条件は、退職理由や手続きの日付、仕事の見つけ方が少し違うだけで結果が変わるので、迷うのは当然です。あなたの理解が足りないわけではありません。最終的な判断はハローワークが行うので、迷ったときは入社日を決める前に窓口で確認するのがいちばん確実です。
「ハローワークに行く前に、自分の状況を一度整理したい」という方は、セルフ退職サポートのLINE相談も使ってください。退職日・申請日・内定日を教えていただければ、どこに気をつければいいかを一緒に確認します。相談だけでも大歓迎です。
まとめ|内定は手続きのあと、入社は待機明けのあと
- 受給の途中で再就職しても問題なし。早く就職した人には再就職手当がある(雇用保険法第56条の3)
- ハローワークで手続きする前に決まった内定先は、再就職手当の対象外
- 待機期間(7日間)中の入社は対象外。内定をもらうのはOK
- 給付制限がある人は、待機明けの1か月はハローワーク等の紹介による就職のみ対象
- 給付日数が3分の1以上残っていることが条件。早いほど支給率は高い(60%/70%)
- 入社前日までにハローワークで認定を受け、就職日の翌日から1か月以内に申請
新しい仕事が決まるのは、あなたが頑張ってきた証です。手続きのタイミングだけ押さえて、気持ちよく次のスタートを切ってください。一歩踏み出す勇気を応援しています。



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