失業保険の受給中にアルバイトはできる?4時間ルールと申告の方法

失業保険の受給中にアルバイトはできる?申告ルールと減額の仕組み 退職給付金

「失業保険をもらっている間、少しだけアルバイトをしたい。でも、バレたらどうなるの?」

退職してハローワークの手続きを終えたあと、生活費の不安からこんなふうに迷っていませんか?

結論から言うと、失業保険(基本手当)の受給中でも、ルールを守ればアルバイトはできます。やってはいけないのは「働いたことを申告しない」ことだけです。

この記事では、受給中にアルバイトをするときのルール、1日4時間を境に扱いが変わる仕組み、収入による減額の考え方、そして絶対にやってはいけないことを、厚生労働省の業務取扱要領と雇用保険法をもとにわかりやすく解説します。

「はじめての失業保険で何も分からない」という方でも大丈夫。あなたの不安がひとつずつ消えていくように、順番にお話しします。

受給中にアルバイトをしても大丈夫?まず知ってほしい結論

失業保険は「仕事を探している人の生活を支える」ための制度です。だから「働いたら即アウト」ではなく、働いた日や収入をきちんと申告すれば、その分を調整して支給が続く仕組みになっています。

法律上の位置づけ

雇用保険法第19条では、受給中に自己の労働によって収入を得た場合、その収入額に応じて基本手当を減額または不支給とすることが定められています。つまり「働いてはいけない」のではなく、「働いた分を調整する」のが法律の考え方です。

そもそも厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、1年間に会社を辞めた人の割合(離職率)は15.4%、およそ7人に1人です。退職後に生活費を補うために短時間働く人は決して珍しくありません。あなたが「少し働きたい」と思うのは、ごく自然なことです。

覚えておきたい3つの基本ルール

1
働いた日は必ず「失業認定申告書」に書く
4週間に1回の失業認定日に提出する「失業認定申告書」には、その期間に働いた日と収入を記入する欄があります。アルバイトでも、短時間の手伝いでも、お金をもらっていなくても、働いた日はすべて記入します。これが最も大切なルールです。
2
「雇用保険に入る働き方」は就職扱いになる
週の労働時間が20時間以上で、31日以上働く見込みがある場合は、雇用保険の加入条件に該当します。この場合はアルバイトではなく「就職した」と判断され、基本手当は止まります(代わりに再就職手当の対象になることがあります)。「ちょっとしたバイト」のつもりでも、シフトが週20時間を超えると扱いが変わるので注意しましょう。
3
待機期間の7日間は働かない
ハローワークで求職の申し込みをした日から7日間は「待機期間」といい、失業の状態であることを確認する期間です。この間に働くと、働いた日は失業と認められず、待機が終わるのが後ろにずれます。受給開始を遅らせないためにも、最初の7日間は働かずに過ごしましょう。
✔ チェック 「申告する」「週20時間を超えない」「待機の7日間は働かない」。この3つを守れば、受給中のアルバイトで困ることはほとんどありません。

1日4時間が境目|「就労」と「内職」で扱いが変わる

働いた日の扱いは、1日の労働時間が4時間以上か未満かで大きく分かれます。厚生労働省の業務取扱要領でも、この4時間を基準に区分されています。

労働時間扱いその日の基本手当
1日4時間以上就職・就労支給されない(ただし後ろにずれて、もらえる日数は減らない)
1日4時間未満内職・手伝い収入額に応じて「全額支給」「減額」「不支給」のいずれか

4時間以上働いた日は「先送り」になるだけ

たとえば1日6時間のアルバイトを3日した場合、その3日分の基本手当は支給されません。ただし、所定給付日数(もらえる日数の総枠)が減るわけではなく、受給が3日分後ろにずれるだけです。受給期間(原則、離職日の翌日から1年)の範囲内であれば、損をするわけではありません。

4時間未満の日は収入によって減額されることがある

4時間未満の短時間労働は「内職・手伝い」として扱われ、その日の収入に応じて基本手当が調整されます。計算の考え方は次のとおりです。

減額の考え方(雇用保険法第19条)

①その日の収入から「控除額」を引く
②①と基本手当日額を足した金額が、賃金日額(退職前の1日あたりの給料)の80%以下なら、基本手当は全額支給
③80%を超えた場合、超えた分だけ基本手当が減額
④減額した結果、基本手当がゼロ以下になるなら、その日は不支給(この場合も後ろにずれます)

⚠️ 控除額は毎年8月に見直されます

控除額や賃金日額の上限は年度によって変わります。自分の場合にいくら減額されるかは、受給資格者証を持ってハローワークの窓口で確認するのが確実です。「だいたい時給1,000円で2〜3時間なら、ほぼ減額されない人が多い」程度の目安として考えておきましょう。

退職前・退職後・申請後でアルバイトの扱いはどう変わる?

「アルバイトをしていいのか」という疑問は、実は時期によって答えが変わります。会社に在籍している退職前、会社を辞めてからハローワークに行くまでの退職後、そして受給の手続きをしたあとの申請後。この3つの時期で気をつけるポイントがまったく違うので、順番に整理していきます。

時期何のルールが関係する?一番の注意点
退職前(在職中)今の会社の就業規則退職後も続けるバイトは週20時間未満に
退職後(申請前)受給期間(離職日の翌日から原則1年)申請を先延ばしにしない・申請時に正直に伝える
申請後待機期間・給付制限・失業認定待機7日間は働かない・働いた日は必ず申告

退職前(在職中)のアルバイト

まだ会社に在籍している間のアルバイトは、失業保険のルールではなく、今の会社の就業規則の問題です。副業を禁止している会社なら、たとえ退職が決まっていても、有給休暇を消化している最中でも、在籍している以上は規則が適用されます。退職直前に副業が問題になって懲戒扱いになると、離職票の離職理由に影響が出るおそれもあるので、副業禁止の会社では退職日まで待つのが安全です。

一方で、雇用保険の観点から覚えておいてほしいことが2つあります。

ひとつは、失業保険の金額(基本手当日額)は退職前6か月の給料をもとに計算され、その計算に使われるのは雇用保険に加入していた会社の賃金だけ、ということです。在職中にアルバイトで稼いでも、その分は失業保険の金額には反映されません。計算の詳しい仕組みは失業給付はいくらもらえる?賃金日額の計算方法で解説しています。

もうひとつは、退職後もそのアルバイトを続ける場合の注意です。週20時間以上で31日以上働く見込みがあるアルバイトは、それ自体が雇用保険の加入条件に当たります。本業を辞めてもそのアルバイトが残っていると、ハローワークからは「失業の状態ではなく、すでに就職している」と判断され、受給資格そのものが認められない可能性があります。

✔ チェック 退職後に失業保険を受け取るつもりなら、在職中のアルバイトは週20時間未満に抑えておくか、退職と同じタイミングで整理しておきましょう。

退職後(ハローワークに申請する前)のアルバイト

会社を辞めてから、ハローワークで求職の申し込みをするまでの期間は、まだ受給資格が決まっていないので、失業認定申告書に書く「認定期間」の外です。この間に働いた分で基本手当が減らされることはありませんし、収入も退職前の賃金から計算される基本手当日額には関係ありません。生活費のつなぎとして短期で働くこと自体は問題ありません。

ただし、2つの落とし穴があります。

⚠️ 申請前に働くときの落とし穴

①受給期間は待ってくれない
失業保険を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間と決まっていて、申請を先延ばしにしている間もその1年は進んでいきます。所定給付日数が多い人ほど、申請が遅れると最後まで受け取りきれないことがあります。

②申請時点で続けている仕事は「就職中」扱いになりうる
申請する時点で週20時間以上・31日以上のアルバイトを続けていると、「就職中」とみなされて受給資格の決定ができません。申請日の時点で続けている仕事がある場合は、受給資格の決定時に必ず正直に伝えてください。ここで隠すと、あとから不正受給として扱われます。

受給期間の考え方は雇用保険の受給期間とは?1年以内に手続きをでも詳しく説明しています。アルバイトをしながらでも、申請は早めに済ませましょう。

申請後(待機期間・給付制限・受給中)のアルバイト

ハローワークで求職の申し込みをして受給資格が決まると、ここから先は失業認定のルールが適用されます。申請後は大きく3つの段階に分かれます。

1
待機期間(最初の7日間)は働かない
本当に失業している状態かどうかを確認するための期間です。この間に働くと、その日は失業と認められず、待機の終わりが後ろにずれます。受給開始を遅らせないためにも、最初の7日間は働かないでください。
2
給付制限期間中は働けるが、申告は必要
自己都合で退職した人は、待機期間のあとに「給付制限」の期間があります(2025年4月以降は原則1か月。必ずハローワークで確認してください)。この期間は基本手当が出ませんが、アルバイトは可能です。ただし、週20時間以上・31日以上の働き方は就職扱いになること、そして給付制限中に働いた日も最初の認定日に提出する失業認定申告書に記入が必要なことは変わりません。「まだ手当をもらっていないから申告しなくていい」というのは誤解です。
3
受給中は「1日4時間」を境に扱いが変わる
4時間以上働いた日は「就労」として、その日の基本手当は支給されませんが、もらえる日数が減るわけではなく後ろにずれるだけです。4時間未満の日は「内職・手伝い」として、収入の額に応じて全額支給・減額・不支給のいずれかになります(雇用保険法第19条)。どちらの場合も、働いた日と収入を失業認定申告書に正確に書くことが唯一のルールです。

3つの時期に共通する考え方

退職前は会社の就業規則、退職後は受給期間と申請時の働き方、申請後は待機期間と申告義務。気をつけるポイントは時期ごとに違いますが、根っこにある考え方はひとつです。

どの時期にも共通する2つのこと

・週20時間以上・31日以上の働き方は「アルバイト」ではなく「就職」になる
・働いた事実は隠さず、必ずハローワークに伝える

この2つを知っておけば、どの時期でもアルバイトと失業保険は両立できます。迷ったときは、働き始める前にハローワークの窓口で「この条件で働いても大丈夫ですか」と聞いてしまうのがいちばん確実です。

申告しないとどうなる?不正受給のペナルティ

ここが一番大切なところです。アルバイトをしたこと自体は問題ありませんが、申告せずに基本手当を受け取ると「不正受給」になります。

⚠️ 不正受給のペナルティ(雇用保険法第34条・第10条の4)

・不正があった日以降の基本手当はすべて支給停止
・不正に受け取った額の全額返還
・さらに、返還額の最大2倍の金額を納付(いわゆる「3倍返し」)
・悪質な場合は詐欺罪として刑事告発されることも

「数日のバイトくらいバレないだろう」と考える人もいますが、アルバイト先が雇用保険の手続きをしたり、給与の支払記録が税務情報として照合されたり、ハローワークへの通報があったりと、発覚する経路はいくつもあります。詳しくは失業給付の不正受給とは?バレる理由・ペナルティ・正しい申告方法でも解説しています。

申告すれば減額されるのはせいぜい数日分。申告しなければ全額返還+2倍の納付。どちらが得かは明らかです。働いたら、迷わず申告する。これだけ覚えておいてください。

受給中にアルバイトをするときの手順

1
働く前に、シフトの時間と日数を確認する
週20時間未満に収まるか、1日4時間以上の日がどれくらいあるかを先に確認します。不安なら、働き始める前にハローワークの窓口で「この条件で働いても受給は続きますか」と聞いてしまうのが一番確実です。
2
働いた日・時間・収入をメモしておく
認定日は4週間に1回なので、記憶に頼ると抜けが出ます。カレンダーアプリやメモに「日付・時間・金額」を残しておきましょう。給与明細やシフト表も保管しておくと安心です。
3
失業認定申告書に正確に記入する
申告書の「失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労または手伝いをしましたか」の欄で「した」を選び、カレンダー欄に働いた日を○(4時間以上)または×(4時間未満)で記入します。収入があった日は金額も書きます。書き方に迷ったら窓口で聞けば教えてもらえます。申告書全体の書き方は失業の認定とは?認定日・求職活動実績の回数・申告書の書き方にまとめています。
4
求職活動は並行して続ける
アルバイトをしていても、失業保険をもらうには「仕事を探している」ことが前提です。認定期間ごとに原則2回以上の求職活動実績が必要なので、応募やハローワークの相談を忘れずに続けましょう。
✔ チェック 「事前確認 → 記録 → 正確に申告 → 求職活動も継続」。この流れを守れば、アルバイトと失業保険は両立できます。

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よくある質問Q&A

Q. 友人の店を無給で手伝っただけでも申告が必要?

A. 必要です。お金をもらっていなくても「手伝い」は申告の対象です。収入がなければ減額はされませんが、働いた日として記入します。

Q. 単発バイトや日雇いでも同じルール?

A. 同じです。1日4時間以上なら就労、未満なら内職扱いで、どちらも申告が必要です。単発の派遣やギグワークも含まれます。

Q. フリマアプリやネットでの売上も申告するの?

A. 自分の不用品を売った程度なら「労働による収入」には当たらないのが一般的ですが、継続的に仕入れて販売するなど事業性がある場合は扱いが変わります。判断に迷うときはハローワークに確認しましょう。

Q. アルバイト先がそのまま正社員採用になったら?

A. 雇用保険の加入条件を満たす働き方になった時点で「就職」です。すぐにハローワークへ届け出てください。条件を満たせば再就職手当として、残りの給付日数に応じた一時金を受け取れる可能性があります。

Q. 申告を忘れてしまった。今からでも間に合う?

A. 気づいた時点ですぐにハローワークへ申し出てください。自分から申し出た場合、悪質な不正受給とは区別されて扱われることがあります。放置するのが一番よくありません。

それでも一人では不安な方へ

ここまで読んで、「ルールは分かったけど、自分のケースはどうなんだろう」「ハローワークに聞くのも気が引ける」と感じている方もいるかもしれません。

退職や失業保険の手続きは、人生で何度も経験するものではありません。分からなくて当たり前ですし、不安になるのはあなたが真面目に向き合っている証拠です。

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まとめ|働いたら申告する、それだけ守れば大丈夫

  • 失業保険の受給中でも、ルールを守ればアルバイトはできる(雇用保険法第19条)
  • 1日4時間以上は「就労」で後ろにずれる、4時間未満は「内職」で収入に応じて調整
  • 週20時間以上・31日以上の見込みは「就職」扱いになり受給が止まる
  • 退職前は就業規則、退職後は受給期間、申請後は待機期間と申告。時期ごとに注意点が違う
  • 待機期間の7日間は働かない
  • 働いた日は必ず失業認定申告書に書く。申告しないと返還+最大2倍の納付
  • 迷ったら、働く前にハローワークへ確認する

失業保険は、あなたが次の一歩を踏み出すための制度です。正しく使って、安心して次の仕事を探していきましょう。一歩踏み出す勇気を応援しています。

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