休職か退職か迷ったら|傷病手当金と失業保険のちがいを図解

社会保険

「もう限界かもしれない。でも、休職すればいいのか、いっそ辞めたほうがいいのか分からない」

「休んでいる間のお金はどうなるの?辞めたら失業保険はもらえる?」

体調を崩しかけているときに、こんな大きな決断を一人でするのは本当にしんどいですよね。実はこの悩み、セルフ退職サポートの面談でもとても多いんです。2026年10月に面談したお客さまのうち、記録が残っている11件中5件で「休職」「傷病手当金」「通院しながらの退職」が話題になりました。

厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、1年間に会社を辞めた人の割合(離職率)は15.4%、およそ7人に1人です。休むことも辞めることも、特別なことではありません。迷っているのは、あなたが弱いからではなく、自分の生活をまじめに考えているからです。

この記事では、休職と退職のちがいと、体調がつらいときに使える傷病手当金・失業保険の受給期間延長のしくみを、図を使ってやさしく整理します。「はじめてで何も分からない」という方も大丈夫です。

休職か退職か迷ったら、まず知っておきたい3つのこと

最初に、判断の土台になる3つのポイントをお伝えします。

  • 休職は会社ごとのルール:休職は法律で一律に決められた制度ではなく、期間や条件はそれぞれの会社の就業規則で決まります。まずは就業規則を確認しましょう。
  • 休んでいる間も、お金の支えがある:会社の健康保険に入っていれば、条件を満たすと「傷病手当金」を受け取れます。条件を満たせば退職後も続けて受け取れます。
  • 失業保険は「働ける状態」になってから:失業保険(雇用保険の基本手当)は、すぐに働ける人のための制度です。療養中は受け取れませんが、受け取れる期間を後ろにのばす手続きがあります。

この3つをふまえて、休職と退職を比べてみましょう。

休職と退職のちがい:会社との関係、お金、健康保険、失業保険、期間、向いている人の比較表
休職と退職のちがい(タップで拡大できます)

どちらが正解かは、人によって違います。大切なのは、「戻る場所を残しておきたいか」と「休んでいる間のお金をどうするか」の2つです。

休んでいる間のお金を支える「傷病手当金」3つのポイント

休職でも退職でも、体調が理由で働けない間の生活を支えてくれるのが、健康保険の傷病手当金です(健康保険法第99条)。

1
受け取れる条件は4つ
協会けんぽによると、①仕事以外の病気やけがで療養中、②医師などの判断で仕事ができない状態、③連続した3日間(待期期間)を含めて4日以上休んでいる、④その日の給料が出ていない、のすべてを満たすと受け取れます。仕事が原因の病気やけがは労災保険の対象になります。
2
金額は給料のおよそ3分の2
1日あたりの金額は「支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均÷30日×3分の2」です。標準報酬月額は、毎月の給料をもとに決められた保険料計算用の金額のこと。ざっくり「ふだんの給料の3分の2くらい」とイメージしてください。
3
受け取れるのは通算1年6か月まで
同じ病気やけがについて、支給が始まった日から通算して1年6か月までです。途中で出勤して支給されない期間があっても、その分は後ろにのびます。

申請には、あなた・会社・主治医がそれぞれ記入する申請書が必要です。協会けんぽでは、給料の締め日ごとに1か月単位で申請することをすすめています。

休職中に退職しても傷病手当金をもらい続ける2つの条件

「休職したけど、やっぱり戻れそうにない」。そんなときに一番気になるのが、辞めたら傷病手当金が止まってしまうのでは?ということですよね。

健康保険法第104条にもとづく「資格喪失後の継続給付」というしくみがあり、次の2つを満たせば、退職後も残りの期間について傷病手当金を受け取れます。

休職から退職するときのお金の流れ:休む、休職中は傷病手当金、退職後も受け取る2つの条件、退職後も傷病手当金、働けるようになったら失業保険
休職から退職するときのお金の流れ(タップで拡大できます)

⚠️ 退職後も受け取るための2つの条件(協会けんぽより)

①退職日までに、続けて1年以上健康保険に入っていること
任意継続や国民健康保険に入っていた期間は含みません。転職して1年未満の方は特に確認しましょう。

②退職日に、傷病手当金を受けている(または受けられる状態である)こと
ここが一番の落とし穴です。退職日に出勤してしまうと、条件を満たさなくなり、退職の翌日以降の傷病手当金は受け取れません。「最後くらいあいさつに行かなきゃ」と思うかもしれませんが、退職日は休むようにしましょう。

なお、休職中であっても退職すること自体は可能です。民法第627条では、期間の定めのない雇用契約なら、退職の意思を伝えてから2週間で契約が終わるとされています。体調が悪いときの伝え方は退職の切り出し方と例文も参考にしてください。

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退職後の失業保険は「働けるようになってから」受給期間延長を忘れずに

ハローワークインターネットサービスによると、失業保険は「いつでも就職できる能力がある」のに仕事が見つからない人のための制度です。そのため、病気やけがですぐに働けない間は受け取れません。傷病手当金は「働けない」ことが条件なので、同じ期間に両方を受け取ることはできない、と覚えておきましょう。

ここで注意したいのが、失業保険を受け取れる期間(受給期間)です。原則は退職した日の翌日から1年間。療養しているうちにこの1年が過ぎてしまうと、働けるようになったときには受け取れる日数が残っていない、ということになりかねません。

受給期間延長のポイント(ハローワークインターネットサービスより)

・病気やけがなどで続けて30日以上働けないときは、その日数分だけ受給期間をのばせる
・のばせるのは最長3年(もとの1年とあわせて最長4年)
・30日以上働けない状態になった日の翌日以降、早めに申請するのが原則(延長後の受給期間の最後の日までなら申請可能)
・住所を管轄するハローワークへ。代理人や郵送でも申請できる

体調が悪くて外に出るのがつらいときも、郵送で手続きできるのは心強いですね。くわしくは失業給付中に病気・ケガになったら?傷病手当と受給期間延長でも解説しています。

また、病気などが理由でやむを得ず退職した場合、ハローワークの判断で「正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)」とされ、給付制限がかからないことがあります。医師の診断書など、退職理由を説明できる資料があると話がスムーズです。最終的な判断はハローワークが行うので、手続きのときに相談してみてください。

あなたはどっち?休職と退職を選ぶ3つの目安

①今の会社に戻りたい気持ちがあるなら「休職」

仕事内容や会社自体は好きで、「体調さえ戻れば続けたい」と思えるなら、まず休職を検討するのがおすすめです。在籍したまま療養できるので、戻る場所を残しておけます。休職の期間や手続きは会社によって違うので、就業規則を確認しましょう。

②職場そのものがつらさの原因なら「退職」も選択肢

人間関係や働き方など、職場そのものが体調を崩す原因になっているなら、休職しても同じ職場に戻るのはつらいかもしれません。その場合は、傷病手当金の2つの条件を確認したうえで退職するのも、自分を守るための立派な選択です。

③迷っているなら、まず医師に相談して「休む」ことを優先

決めきれないときは、無理に結論を出さなくて大丈夫です。まずは医師に今の状態を相談し、休むことを優先しましょう。傷病手当金の申請には医師の記入も必要です。体調が落ち着いてから考えるほうが、後悔の少ない選択ができます。

退職するなら事前に確認したい4つのこと

1
健康保険に続けて1年以上入っているか
退職後も傷病手当金を受け取るための条件です。入社日を確認しておきましょう。
2
退職日に出勤しない段取りになっているか
退職日に出勤すると継続給付の条件を満たさなくなります。荷物の受け取りや書類のやり取りは郵送で済ませる方法もあります。
3
退職後の健康保険をどうするか
会社の健康保険を最長2年続けられる「任意継続」(退職日の翌日から20日以内に申請)か、国民健康保険に切り替えるかを選びます。家族の扶養に入れる場合もあります。
4
離職票が必要なことを会社に伝えたか
受給期間延長の申請や、働けるようになってからの失業保険の手続きで使います。届かないときの対処法は離職票が届かないときの対処法をご覧ください。

よくある質問Q&A

Q. 休職せずに、いきなり退職しても傷病手当金はもらえる?

A. 退職日までに連続3日の待期期間を終え、退職日に傷病手当金を受けられる状態であること、健康保険に続けて1年以上入っていることなどの条件を満たせば、退職後も受け取れます。退職日に出勤しないよう注意してください。

Q. 休職期間が終わっても復職できなかったらどうなる?

A. 就業規則で「休職期間が終わっても復職できないときは退職」などと決められていることが多いです。扱いは会社によって違うので、休職を始める前に就業規則で確認しておきましょう。

Q. 傷病手当金と失業保険、両方もらえる?

A. 同じ期間に両方は受け取れません。傷病手当金は「働けない」こと、失業保険は「働ける」ことが条件だからです。療養中は傷病手当金、働けるようになったら失業保険、という順番になります。

Q. 傷病手当金の振込はいつ?

A. 協会けんぽによると、審査の結果支払いができる場合は、受付から10営業日以内に振り込まれます。加入している健康保険組合によって異なることがあります。

それでも一人では不安な方へ

「自分は条件を満たしているのかな」「退職日をいつにすればいいんだろう」。体調がすぐれないときに、こうした手続きを一つずつ調べるのは大変ですよね。

休むか、辞めるか。どちらを選んでも、あなたが自分を守ろうとしていることに変わりはありません。休みたいと思うことも、辞めたいと思うことも、悪いことではないんです。

セルフ退職サポートでは、休職から退職までの流れ、傷病手当金や失業保険の手続き、退職日の決め方まで、あなたの状況に合わせてLINEで無料相談を受け付けています。「まだどうするか決めていない」段階でも大丈夫です。

まとめ|休職か退職か、大事なのは「戻りたいか」と「お金の支え」

  • 休職は会社ごとのルール。期間や条件は就業規則で確認する
  • 傷病手当金は給料のおよそ3分の2を、通算1年6か月まで受け取れる
  • 退職後も受け取るには「健康保険に続けて1年以上」「退職日に出勤しない」の2つが大切
  • 失業保険は働けるようになってから。30日以上働けないときは受給期間延長(最長3年)を申請
  • 迷ったら、まず医師に相談して休むことを優先する

ここまで読んだあなたは、もう「何も分からない」状態ではありません。自分の体を一番に考えて選んだ道なら、それがあなたにとっての正解です。一歩踏み出す勇気を応援しています。

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