雇用保険の被保険者資格取得届とは?

退職手続き

「新しいスタッフを採用したはいいけど、雇用保険の手続きって何をすればいいの?」そんな疑問を抱えたまま、うっかり期限を過ぎてしまいそうで不安――そんなお気持ち、よくわかります。採用直後はやることが山積みで、社会保険の手続きまで頭が回らないこともありますよね。

でも安心してください。雇用保険の被保険者資格取得届は、ルールさえ押さえておけば難しくありません。この記事では、届出の概要から提出期限、具体的な記載方法まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。

雇用保険の被保険者資格取得届とは?

雇用保険の被保険者資格取得届とは、事業主が新たに従業員を雇用し、その従業員が雇用保険の被保険者となった際に、ハローワーク(公共職業安定所)へ提出する届出書類です。

雇用保険法第7条では、「事業主は、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者となったことについて、厚生労働省令で定めるところにより、その者が被保険者となった日の属する月の翌月10日までに、その旨を公共職業安定所長に届け出なければならない」と定められています。つまり、届出は事業主の法的義務です。

この届出をもとに、ハローワークから「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」が発行され、従業員本人に渡る流れになります。失業給付(基本手当)や育児休業給付金など、さまざまな給付の土台となる大切な手続きですので、採用後は速やかに対応しましょう。

【法令根拠】
雇用保険法 第7条(被保険者資格の取得の届出)
雇用保険法施行規則 第6条(被保険者資格取得届の提出)

どんな人が被保険者になるの?加入要件を確認しよう

「うちはパートさんも届け出が必要?」という疑問を持つ方も多いですよね。実は雇用保険の加入要件は、雇用形態ではなく労働時間や雇用見込み期間で判断します。

雇用保険法第6条・第4条等に基づき、以下の要件をすべて満たす場合に被保険者となります。

加入要件 内容
週所定労働時間 20時間以上
雇用見込み期間 31日以上継続して雇用される見込みがあること
学生かどうか 原則として昼間学生は対象外(夜間・通信制等は加入対象になる場合あり)
65歳以上かどうか 65歳以上でも「高年齢被保険者」として加入対象(2017年1月以降)

たとえば、週3日・1日7時間勤務のパートスタッフさん(週21時間・31日以上の雇用見込み)であれば、加入要件を満たします。「うちはパートだから関係ない」と思っていたケースでも、実は届出が必要だった、というケースは少なくありません。迷ったときは所轄のハローワークに確認するのが確実です。

⚠ 注意:加入要件を満たしているにもかかわらず届出を怠った場合、遡及して加入手続きを行う必要が生じたり、事業主に対してペナルティが課される場合があります(雇用保険法第83条)。採用時には速やかに確認・届出を行いましょう。

提出期限はいつ?絶対に覚えておきたい「翌月10日」

雇用保険の被保険者資格取得届の提出期限は、被保険者となった日(雇用した日)の属する月の翌月10日までです(雇用保険法第7条、雇用保険法施行規則第6条)。

「翌月10日」という期限は、健康保険・厚生年金保険の資格取得届(こちらは事実発生から5日以内)と比べると少し余裕があります。とはいえ、採用後にバタバタしていると、うっかり過ぎてしまうこともあります。採用が決まった段階でスケジュールに入れておくことをお勧めします。

📅 提出期限の具体例

▶ 4月1日に採用した場合 → 提出期限は5月10日
▶ 3月20日に採用した場合 → 提出期限は4月10日
▶ 10日が土日・祝日の場合 → 翌営業日が期限になります

たとえば、4月1日に新卒のBさんを正社員として採用したケースを考えてみましょう。この場合、「被保険者となった日」は4月1日ですので、「4月の属する月の翌月」である5月の10日、つまり5月10日が提出期限です。入社直後は研修や業務引き継ぎで忙しい時期ですが、5月10日というリミットを忘れずにカレンダーに入れておきたいですね。

被保険者資格取得届の記載方法

届出書は、ハローワークの窓口で入手するか、厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます(様式第2号)。また、e-Gov(電子政府)を通じた電子申請にも対応しています。ここでは、主な記載項目を確認していきましょう。

主な記載項目

1
事業所番号・事業所名称
ハローワークから付与されている11桁の事業所番号と事業所名を記入します。初めて届出を行う場合は、先に「雇用保険適用事業所設置届」の提出が必要です。
2
被保険者氏名・生年月日・性別
採用した従業員本人の氏名(フリガナも記入)、生年月日、性別を正確に記入します。マイナンバーの記載欄もあります。
3
資格取得年月日(被保険者となった日)
実際に雇用が始まった日(入社日)を記入します。試用期間中であっても、雇用保険の加入要件を満たしていれば、雇用開始日が資格取得日になります。
4
雇用形態・被保険者種類
「一般被保険者」「高年齢被保険者」「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険者」の4種類から選択します。多くの場合は「一般被保険者(コード:1)」に該当します。
5
賃金(週所定労働時間)
採用時の賃金月額と週所定労働時間を記入します。週所定労働時間は加入要件(20時間以上)の確認にも使われる重要な項目です。
6
前職の雇用保険被保険者番号
以前に雇用保険に加入していた場合、被保険者番号は引き継がれます。前職の「雇用保険被保険者証」を本人から提出してもらい、番号を転記しましょう。初めて加入する場合は空欄でOKです。
💡 電子申請(e-Gov)も便利です!
被保険者資格取得届は、e-Govポータルを通じて電子申請が可能です。窓口に出向く手間が省けるうえ、提出記録も残るので管理がしやすくなります。従業員数が多い事業所や、複数回にわたって採用が発生する場合には、ぜひ活用を検討してみてください。

記載時によくあるミスに注意!

ここがポイントなのですが、記載ミスで最も多いのが「資格取得年月日」の誤りです。試用期間であっても、実際に労働を開始した日が取得日になります。「試用期間が終わってから届け出ればいい」と誤解して遅れてしまうケースが見受けられますので、ご注意ください。

また、以前に雇用保険に加入していた従業員が被保険者証を紛失している場合でも、ハローワークで番号照会が可能です。事前に本人の氏名・生年月日・前職情報を確認しておくと手続きがスムーズです。

提出方法・提出先はどこ?

被保険者資格取得届の提出先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。提出方法は以下の3つから選べます。

🗂 提出方法を選んでみましょう

窓口持参 → 管轄ハローワークの雇用保険担当窓口へ直接持参。その場で確認・受理してもらえるので確実です。
郵送 → 管轄ハローワークへ郵送。控えの返送を希望する場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封しましょう。
電子申請(e-Gov) → インターネット上で手続きが完結。24時間対応で便利ですが、事前に電子申請の利用設定が必要です。

なお、提出の際には届出書とあわせて、採用した従業員のマイナンバーを確認できる書類(マイナンバーカード・通知カードなど)の提示または写しが必要になる場合があります。詳細は管轄ハローワークにご確認ください。

まとめ

雇用保険の被保険者資格取得届について、ここまで読んでいただきありがとうございます。最後に要点を整理しておきますね。

  • 届出の義務:雇用保険の加入要件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)を満たす従業員を採用した事業主は、ハローワークへの届出が法律上の義務です(雇用保険法第7条)。
  • 提出期限:被保険者となった日の属する月の翌月10日まで(雇用保険法施行規則第6条)。
  • 提出先:事業所の所在地を管轄するハローワーク(窓口・郵送・電子申請)。
  • 記載のポイント:資格取得年月日は「実際の雇用開始日」、前職の被保険者番号は本人から「雇用保険被保険者証」を回収して確認する。
  • 迷ったら:加入要件の判断や記載内容に不明点があれば、所轄のハローワークに相談するのが一番確実です。

採用直後はあれこれ忙しいですが、雇用保険の手続きは従業員を守るための大切な第一歩です。「後でいいや」と後回しにせず、採用が決まったらすぐにスケジュールに入れる習慣をつけておくと安心ですよ。

手続きで迷ったら、一人で悩まないでください

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