雇用保険料の計算方法と負担割合を解説

退職手続き

「給与明細に雇用保険料って書いてあるけど、これって何の保険料なんだろう?」――そんな疑問を持ちながらも、なんとなく毎月引かれるままにしていた方、多いのではないでしょうか。

でも、退職を考えたり実際に離職したりする場面になると、この雇用保険は一気に身近な存在になります。失業給付(基本手当)を受け取れるかどうか、金額はいくらになるのか、すべて雇用保険の加入状況と保険料に直結しているからです。

この記事では、雇用保険料の計算方法・労使の負担割合・給与明細への反映のしくみを、できるだけかみ砕いてお伝えします。「計算が苦手で……」という方も、図解を見ながら一緒に確認していきましょう。

そもそも雇用保険料とは?制度のキホンをおさらい

雇用保険は、失業したときや育児・介護で休業するときなどに給付を受けられる国の制度です(雇用保険法第1条)。その財源となるのが毎月の「雇用保険料」で、労働者と事業主(会社)が一緒に負担する仕組みになっています。

注意したいのは、雇用保険はすべての働く人が自動的に加入するわけではない点です。雇用保険法第6条に定める適用除外に該当しない限り、週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある労働者は、パート・アルバイトを含めて原則加入義務があります。逆に言えば、この条件を満たしていれば、あなたの給与からも毎月保険料が引かれているはずです。

📌 雇用保険加入の基本条件(雇用保険法第6条参照)

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 同一の事業主に31日以上雇用される見込みがある
  • 学生でないこと(一部例外あり)

雇用保険料率はどう決まる?事業の種類で変わる

雇用保険料率は、毎年度厚生労働省が告示で定めており、事業の種類によって3区分に分かれています。これは、業種によって離職リスクや雇用調整の必要性が異なるためです。

2024年度(令和6年度)の保険料率は以下のとおりです。

事業の種類 労働者負担 事業主負担 合計(雇用保険料率)
一般の事業 6/1000 9.5/1000 15.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 7/1000 10.5/1000 17.5/1000
建設の事業 7/1000 11.5/1000 18.5/1000

多くの会社員の方は「一般の事業」に該当します。つまり、あなたが負担する割合は賃金の0.6%(1000円につき0.6円)ということになります。一方、会社側は0.95%を負担しており、労働者よりも多く払っている点がポイントです。

⚠️ 料率は毎年見直しがあります

雇用保険料率は年度ごとに変更になる場合があります。最新の料率は厚生労働省の公式サイトまたは最寄りのハローワークでご確認ください。

雇用保険料の計算方法を具体例でわかりやすく解説

さて、実際にどう計算するのか、一緒に見ていきましょう。計算式はシンプルです。

雇用保険料(労働者負担分)の計算式

毎月の賃金総額 × 雇用保険料率(労働者負担分)

一般の事業の場合:賃金総額 × 6/1000(0.6%)

ここでいう「賃金総額」とは、基本給だけでなく、残業代・通勤手当・各種手当など、その月に支払われた賃金のすべてを含みます。ただし、社会保険料などの控除後の「手取り」ではなく、控除前の「総支給額」をもとに計算する点に注意してください。

具体例① 月給25万円のBさんの場合

たとえば、一般企業に勤めるBさんの月の賃金総額が250,000円だったとします。

  • Bさんの雇用保険料:250,000円 × 6/1000 = 1,500円
  • 会社の負担分:250,000円 × 9.5/1000 = 2,375円

Bさんの給与明細には「雇用保険料 1,500円」と記載され、この金額が差し引かれます。意外と少ないと感じた方もいるかもしれませんね。月1,500円の負担で失業給付や育児休業給付などの恩恵が受けられると考えると、とてもコスパのよい保険とも言えます。

具体例② 残業が多かった月のCさんの場合

同じくCさんの基本給が220,000円で、その月は残業代が40,000円・通勤手当が10,000円ついて賃金総額が270,000円になったとします。

  • Cさんの雇用保険料:270,000円 × 6/1000 = 1,620円

このように残業代や手当が増えた月は、雇用保険料も若干上がります。月によって給与明細の控除額がわずかに違うのはそのためです。「あれ、先月と保険料の金額が違う」と気になったことがあった方、まさにこの仕組みによるものですよ。

労使の負担割合はなぜ違うの?そのしくみを理解しよう

先ほどの表でお気づきの方もいると思いますが、労働者と事業主の負担割合は同じではありません。一般の事業で見ると、労働者0.6%に対して事業主0.95%と、会社側のほうが多く負担しています。

これはなぜかというと、雇用保険の保険料は「失業等給付」部分と「雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)」部分に分かれており、雇用安定や人材育成に関わる雇用保険二事業の費用は事業主のみが負担すると定められているからです(雇用保険法第68条)。会社が従業員を雇用し続けるための仕組みを整えるコストは、会社側が担う、という考え方ですね。

雇用保険料の内訳(一般の事業・2024年度)

失業等給付・育児休業給付(労使折半):労働者0.4% + 事業主0.4% = 計0.8%
育児休業給付(労使折半):労働者0.2% + 事業主0.2%(上記0.8%に含む)
雇用保険二事業(事業主のみ負担):事業主0.15%

※合計:労働者0.6% + 事業主0.95% = 1.55%

労働者が負担する0.6%のうち、0.4%が失業等給付・育児休業給付に、残りの0.2%も給付財源に充てられています。将来もしものときのための「積立」と考えると、毎月の天引きも少し納得感が出てくるのではないでしょうか。

給与明細のどこを見ればいい?確認のポイント

毎月の給与明細には「控除」の欄があり、その中に「雇用保険料」または「雇用保険」という項目があるはずです。ここに記載された金額が、あなたが実際に負担している雇用保険料です。

1
給与明細の「控除」欄を開く
健康保険料・厚生年金保険料・所得税などと並んで「雇用保険料」が記載されています。
2
「総支給額 × 0.6%」と一致するか確認
一般の事業であれば、賃金総額(総支給額)に0.006を掛けた金額が目安です。1円単位の端数処理で若干ずれる場合があります。
3
金額がおかしいと感じたら会社の担当部署へ
計算が合わない場合や「雇用保険料」の欄がない場合は、総務・人事担当者に確認しましょう。未加入の可能性もゼロではありません。

✅ 加入状況は「雇用保険被保険者証」で確認できます

雇用保険に加入すると「雇用保険被保険者証」が発行されます。会社が保管している場合が多いですが、退職時には必ず受け取りましょう。被保険者番号が記載されており、ハローワークでの手続きに必要です。

退職後の雇用保険はどうなる?手続きの流れ

退職を機に「これまで払ってきた雇用保険料、ちゃんと活かせるの?」と気になる方も多いはず。在職中に雇用保険料を支払い続けていた期間(被保険者期間)が一定以上あれば、退職後に「基本手当(失業給付)」を受け取れる可能性があります(雇用保険法第13条)。

ただし、すぐにもらえるわけではなく、ハローワークへの申請と手続きが必要です。また、自己都合退職か会社都合退職かによって、給付開始までの期間や受給できる日数が変わります。

あなたはどのケース?退職理由別の給付開始時期

会社都合退職(解雇・倒産など)の場合 → 7日間の待期後、原則すぐに給付開始(特定受給資格者)
自己都合退職の場合 → 7日間の待期+原則2か月の給付制限期間あり(※正当な理由がある場合は給付制限が免除されることも)

退職後の手続きは、離職日の翌日から数えて原則1年以内に受給を終える必要があります(雇用保険法第20条)。「退職したけどしばらく休んでから考えよう」と思っていると、受給できる期間が短くなってしまうこともあるので、できるだけ早めにハローワークへ向かうことをおすすめします。

まとめ

雇用保険料の計算方法と負担割合について、ここまで一緒に確認してきました。最後に要点を整理しておきましょう。

  • 雇用保険料は「賃金総額 × 雇用保険料率」で計算する(一般の事業は労働者負担0.6%)
  • 負担割合は労使で異なり、事業主のほうが多く負担する(雇用保険二事業分は事業主のみ)
  • 保険料率は事業の種類(一般・農林水産等・建設)によって3区分ある
  • 給与明細の「控除」欄で毎月の負担額を確認できる
  • 退職後は被保険者期間に応じて基本手当を受給できる可能性がある。ハローワークへの早めの申請を

雇用保険は、万が一のときに生活を支えてくれる大切なセーフティネットです。毎月の控除額の意味を知っておくだけで、退職後の手続きにも自信を持って臨めますよ。不安なことがあれば、一人で抱え込まずに相談してみてください。

手続きで迷ったら、一人で悩まないでください

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