「辞めたい」という気持ちは、もうずっと前からあるのに——どうしても、その一言が口から出てこない。今日も言えないまま帰ってきてしまった。そんな毎日が続いていませんか?
「迷惑をかけてしまうかな」「引き止められたらどうしよう」「怒られたら怖い」……そういった不安が頭の中をぐるぐる回って、なかなか前に進めない。そのつらさ、ちゃんとわかります。そして先にお伝えしておきたいのは、あなたの気持ちは、全然おかしくないということです。
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、1年間に離職した人の割合は15.4%。つまり、およそ7人に1人が毎年仕事を辞めています。退職は決して珍しいことでも、特別なことでもありません。離職理由の上位には「職場の人間関係」や「労働時間・休日などの労働条件」が並んでいて——あなたと同じ理由で悩んでいる人が、本当にたくさんいるのです。
この記事では、はじめて退職を考えているあなたに向けて、誰かに頼らなくても自分の力で、費用0円で退職まで進めるための全手順を、法律の根拠をひとつずつ示しながら、やさしくご案内します。読み終わったとき「なんだ、自分にもできそう」と少しでも思ってもらえたら、それが一番うれしいです。
「退職したいのに言えない」のは、あなたが弱いからじゃない
退職を言い出せないのは、実はとても自然なことです。日本では長らく「会社への忠誠心」や「チームに迷惑をかけないこと」が美徳とされてきました。そんな文化の中で育ってきたら、退職を切り出すことに罪悪感を覚えても当然ですよね。
でも、ここで一つだけ知っておいてほしいことがあります。退職は、あなたに法律で認められた「権利」です。
民法第627条第1項では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められています。つまり正社員(期間の定めのない雇用契約)であれば、退職の意思を伝えてから2週間で雇用契約は終了します。会社の「承認」は、法律上は必要ないのです。
退職を言い出せない「3つの心理的な理由」
そもそも、なぜこんなにも「辞めます」の一言が言えないのでしょうか。多くの場合、次の3つのどれか(あるいは全部)に当てはまります。ひとつずつ、その気持ちに寄り添いながら見ていきましょう。
知っておきたい、あなたを守る「3つの法的権利」
不安の多くは「自分に権利があると知らない」ことから生まれます。ここでは、あなたを守ってくれる法律の根拠を、噛み砕いてお伝えします。
① 退職は「2週間前」に伝えれば成立する(民法627条)
前述のとおり、民法第627条第1項により、退職の意思を伝えた日から2週間が経過すれば雇用契約は終了します。会社の許可がなくても、あなたの意思で退職は成立するのです。
② 引き止めに、あなたが従う義務はない
「後任が決まるまでダメ」「認めない」と引き止められても、それはあくまで会社側の希望です。①の民法627条により退職の自由は労働者に認められており、退職そのものを会社が拒否する権限はありません。
③ 退職を証明する書類は、会社に発行義務がある
労働基準法第22条では、労働者が請求した場合、会社は在職期間や退職理由などを記した「退職証明書」を発行しなければならないと定められています。また失業給付の手続きに使う「離職票」も、雇用保険法および厚生労働省「雇用保険適用関係業務取扱要領」にもとづき、会社側が交付手続きを行う義務を負っています。
自分でできる退職の「全6ステップ」
ここからは実践編です。この順番どおりに進めれば、はじめての方でも迷いません。各ステップにチェックポイントを付けたので、ひとつずつクリアしていきましょう。
例文
「〇〇部長、お忙しいところ恐れ入ります。ご相談したいことがあり、少しお時間をいただけますか。実は、一身上の都合により、〇月末をもって退職させていただきたいと考えております。」
⚠️ 離職票が届かないときは
厚生労働省「雇用保険適用関係業務取扱要領」にもとづき、離職票がなかなか届かない・発行してもらえない場合は、あなたが直接ハローワークに相談・請求できます。会社が動いてくれないときの最後の砦として、必ず覚えておいてください。
退職後に発生する主な書類
| 書類名 | 用途 | 発行について |
|---|---|---|
| 離職票 | 失業給付(雇用保険)の受給手続きに必要 | 会社が手続きを行う(届かない場合はハローワークへ) |
| 退職証明書 | 転職先への提出・各種手続きに使用 | 労働者が請求した場合、会社に交付義務(労基法22条) |
| 源泉徴収票 | 確定申告・転職先での年末調整に必要 | 退職後に会社から交付される |
| 健康保険証 | 退職後は使用不可。返却が必要 | 退職日までに会社へ返却する |
よくある不安に、ぜんぶお答えします【Q&A】
Q1. 引き止められたら、どうすればいい?
A. 感謝を伝えつつ、意思は変わらないことを穏やかに繰り返せば大丈夫です。民法627条により、あなたが伝えてから2週間が経てば退職は成立します。相手が納得するかどうかに関係なく、法律があなたの退職を認めています。
Q2.「損害賠償を請求する」と言われることはある?
A. 労働基準法第16条では、あらかじめ違約金や損害賠償額を定めておくことが禁止されています。「辞めたら訴える」などと言われても、退職したこと自体を理由に賠償が認められるケースはほとんどありません。必要以上に怖がらなくて大丈夫です。
Q3. 残っている有給休暇は消化できる?
A. はい、消化できます。年次有給休暇は労働基準法第39条で認められた労働者の権利です。退職前にまとめて取得することも可能なので、退職日を決めるときに、残日数を消化しきれるよう組み込んでおきましょう。
Q4. 自己都合でも、失業給付はもらえる?
A. 雇用保険に一定期間加入していれば、自己都合退職でも受給できます。「自分から辞めたらもらえない」わけではありません。まずはハローワークで、自分が対象になるか確認してみましょう。
🎉 2025年4月からの嬉しい変更点
自己都合退職の場合、これまで失業給付の受給開始まで原則2か月の給付制限期間がありましたが、2025年4月以降は原則1か月に短縮されています。退職後の生活が少し不安な方にとっては、心強い変更ですよね。詳しくは、お住まいを管轄するハローワークで確認してみてください。
それでも一人では心細い、というあなたへ
ここまで読んで、「やり方はわかった。でも、やっぱり一歩を踏み出すのは怖い」——そう感じていても、まったくおかしくありません。手順を知ることと、実際に動き出せることのあいだには、どうしても心の距離があるものだからです。
そんなときは、どうか一人で抱え込まないでください。「これで合っているのかな」「上司にどう切り出そう」——そんな小さな不安を、誰かに話すだけでも、心はずいぶん軽くなります。相談は、退職を決めた人だけのものではありません。「まだ迷っている」「話を聞いてほしいだけ」——その段階でも、まったく問題ありません。
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💬 LINEで無料相談するまとめ|退職は、あなたの正当な「権利」です
退職を言い出せずにいる時間は、本当に苦しいですよね。「こんなことで悩んでいるのは自分だけかな」と感じることもあるかもしれません。でも、毎年およそ7人に1人が仕事を辞めています。あなたは一人じゃないし、退職を考えること自体、何も恥ずかしいことではありません。
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 退職の意思表示から2週間で雇用契約は終了する(民法627条)。会社の承認は不要
- 「退職したら損害賠償」といった取り決めは禁止されている(労働基準法第16条)
- 有給休暇の消化は労働者の権利(労働基準法第39条)
- 退職証明書は会社に発行義務がある(労働基準法第22条)
- 離職票が届かない場合はハローワークへ(雇用保険 業務取扱要領)。自己都合の給付制限は2025年4月から原則1か月に短縮
はじめての退職は、誰だって怖いし、緊張します。でも、あなたにはその一歩を踏み出す力が必ずあります。焦らなくて大丈夫。あなたのペースで、一歩を踏み出すその勇気を、心から応援しています。


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