退職願と退職届の違いとは?出すタイミングと撤回できるかを解説

退職願と退職届の違いと使い分けを解説 退職手続き

「そろそろ退職を伝えたい。でも、出すのは退職願?それとも退職届?」——いざ辞めようと決めても、この一枚の書類で足が止まってしまう方は少なくありません。名前が似ているのに意味はちがい、しかも「出したあとに撤回できるの?」という不安もついて回ります。

大丈夫です。ここを整理できれば、退職の一歩はぐっと踏み出しやすくなります。この記事では、退職願・退職届・辞表の違いから、どちらをいつ出すのか、そして「気が変わったら撤回できるのか」までを、法律の根拠を示しながらやさしく解説します。読み終わるころには、「自分はどっちを、どう出せばいいか」がはっきりしているはずです。

退職願・退職届・辞表は何がちがう?

まずは3つの言葉を整理しましょう。似ているようで、役割はまったく別物です。

1
退職願 = 「辞めさせてください」とお願いする書類
会社に退職を「願い出る」ための書類です。あくまでお願いなので、会社が受け取って認める(承諾する)までは、まだ手続きが確定していない状態です。円満に、まずは相談ベースで切り出したいときに向いています。
2
退職届 = 「辞めます」と一方的に伝える書類
退職することを会社に「届け出る」書類です。お願いではなく、自分の意思を確定して伝えるもの。会社の承諾を待たずに退職の効力が進んでいくのが、退職願との大きな違いです。
3
辞表 = 役員や公務員が辞めるときの書類
「辞表」は、社長・取締役などの役員や、公務員が職を辞するときに使う言葉です。一般の会社員(雇用されて働く社員)が使うものではありません。ドラマの印象で「辞表を叩きつける」と思いがちですが、会社員が出すのは退職願または退職届です。

つまり、会社員のあなたが使うのは「退職願」か「退職届」の2つ。そして両者の一番のちがいは、「お願い」か「確定した意思表示」かという点にあります。

法律で見ると、退職はあなたの権利です

「そもそも、書類を出せば本当に辞められるの?」という不安もあると思います。ここは法律がはっきり味方をしてくれます。

民法627条:申し入れから2週間で退職できる

期間の定めのない雇用契約(正社員など)で働く人は、民法627条により、いつでも退職を申し入れることができ、申し入れの日から2週間が経過すれば雇用契約は終了します。ここに「会社の承諾が必要」とは書かれていません。退職届を出して2週間が過ぎれば、法律上は退職が成立するということです。

この違いが、書類選びにそのまま関わってきます。退職願は「承諾を待つ」性質があるのに対し、退職届は「一方的な意思表示」なので、民法627条の2週間ルールにダイレクトに乗せやすいのです。就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」と書かれていることもありますが、これは会社内のルール。法律上は2週間で退職できると覚えておくと、必要以上に引き止めに悩まされずに済みます。

そもそも退職をどう切り出せばいいか迷っている方は、退職の切り出し方と例文もあわせて読むと、この書類を出すまでの流れがつかめます。

あなたはどっちを出すべき?使い分けの考え方

結論から言うと、多くの会社員には次のような使い分けがおすすめです。

こんなとき向いている書類
円満に、まずは上司に相談する形で切り出したい退職願
退職の意思はもう固い。確実に手続きを進めたい退職届
口頭で伝えたが、なかなか受理・処理してもらえない退職届
会社から「退職届を出して」と指定された退職届

一般的な流れとしては、まず上司に口頭で退職の意思を伝え、そのあと会社の指示に従って退職願または退職届を提出するのが円満なパターンです。多くの会社では退職届の書式が決まっていたり、「退職届でお願いします」と案内されたりするので、それに従えば問題ありません。

⚠️ 「退職願だけ」で止めておくと処理が進まないことも

退職願はお願いの性質上、会社が受け取っただけでは手続きが動かないことがあります。「もう意思は固い」「早く確実に辞めたい」という場合は、退職届を出す(またはお願いされたら退職届を提出する)ほうが、話が前に進みやすくなります。

提出のステップと書き方のポイント

1
まず口頭で、直属の上司に伝える
いきなり書類を出すのではなく、先に直属の上司へ口頭で意思を伝えるのが基本のマナーです。伝え方に迷うときは、こんな一言から始めれば大丈夫です。

例文

「お忙しいところ恐れ入ります。ご相談したいことがあり、少しお時間をいただけますでしょうか。一身上の都合により、〇月末をもって退職させていただきたいと考えております。」

✔ チェック 理由は「一身上の都合」で十分です。具体的な不満を細かく説明する義務はありません。
2
会社の指示に合わせて書類を用意する
会社所定の書式があればそれを使います。指定がなければ、白い便箋に手書き(縦書き)またはパソコンでシンプルに作成すればOKです。宛名は会社の代表者名、差出人は自分の氏名にします。
✔ チェック 退職日は「就業規則の予告期間」か「申し出から2週間後」以降で、上司と相談して決めた日を書きます。書き方のテンプレートは退職届の書き方完全ガイドで確認できます。
3
提出し、控え・記録を残す
手渡しが基本ですが、受け取ってもらえない・話が進まないといった場合は、内容証明郵便で送る方法もあります。いつ・誰に出したかを記録に残しておくと、「言った言わない」のトラブルを防げます。

いちばん不安な「撤回できる?」に答えます

「勢いで出したけど、やっぱり気が変わったら?」——ここが退職願と退職届の一番大きな違いが出るところです。

Q. 退職願は撤回できますか?

A. 退職願は「お願い(承諾を求める申し込み)」なので、会社が承諾する前であれば、撤回できる余地があります。まだ人事の決裁が下りていない段階なら、上司に相談して取り下げられるケースがあります。

Q. 退職届は撤回できますか?

A. 退職届は「一方的な意思表示」なので、原則としていったん会社に到達すると撤回できません。だからこそ、退職届は本当に意思が固まってから提出するのが安心です。迷いが残っているうちは、まず退職願や口頭での相談から始めるとよいでしょう。

Q. どちらか分からないときは?

A. 迷ったら、まずは「退職願」または口頭での相談から入るのが無難です。意思が固まり、会社から指定されたタイミングで退職届に切り替えれば、後戻りの余地を残しつつ、確実に手続きを進められます。

Q. 引き止められて受け取ってもらえないときは?

A. 民法627条により、退職の意思を伝えてから2週間で退職は成立します。会社が受け取りを拒んでも、内容証明郵便で退職届を送れば「意思を伝えた」記録が残ります。強い引き止めで困ったときの対処は、会社が退職を認めてくれないときの対処法もご覧ください。

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退職願と退職届の違い早見表

項目退職願退職届
意味辞めさせてほしいと願い出る辞めることを届け出る
会社の承諾承諾を待つ承諾を待たずに進む
撤回承諾前ならできる余地あり原則できない
向いている人まず相談ベースで切り出したい意思が固く確実に辞めたい

💡 ポイント

「柔らかく切り出したいなら退職願」「確実に辞めたいなら退職届」。そして、どちらを選んでも、民法627条により2週間後には退職できるという事実は変わりません。

まとめ:あなたのペースで、一歩ずつで大丈夫

退職願と退職届は、名前は似ていても「お願い」か「確定した意思表示」かという大切な違いがあります。撤回の余地を残したいなら退職願から、意思が固まっているなら退職届。どちらを選んでも、辞めることはあなたの正当な権利です。

ここまで読めたあなたは、もう「どっちを出せばいいか分からない」という段階を抜け出しています。あとは自分のペースで、一歩ずつ進めていけば大丈夫です。もし途中で不安になったら、一人で抱え込まずに、いつでも相談してくださいね。

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