リスキリング補助金と教育訓練給付金の違い|退職前に確認すべきスクール受講料の国の制度

退職給付金

「会社を辞めたら、スクールで学び直して新しい仕事に挑戦したい」

「スクールの説明会で『国の補助金で受講料が安くなる』と言われたけど、本当に自分も使えるの?」

退職を考えはじめると、次のキャリアのために何か学びたいと思いますよね。でも、受講料は数十万円になることも多く、補助金や給付金が使えるかどうかは大きな問題です。

先にお伝えしておきたいのは、スクールの受講料に使える国の制度の中には、「退職する前」に手続きを始めないと使えないものがあるということです。順番を間違えると、本来使えたはずの支援が受けられなくなることもあります。

この記事では、スクールの説明でよく名前が出る「リスキリング補助金(経済産業省)」と「教育訓練給付金(厚生労働省)」の2つについて、経済産業省の事業公式サイトと厚生労働省のハローワークインターネットサービスをもとに、違い・使える条件・退職前に確認すべきことを図でわかりやすく解説します。「制度の名前がややこしくて分からない」という方も大丈夫です。

スクールの受講料に使える国の制度は主に2つ

Webデザインやプログラミングなどのスクールで「国の制度が使えます」と案内される場合、多くは次のどちらかです。

  • リスキリング補助金:経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」
  • 教育訓練給付金:厚生労働省(ハローワーク)の制度。専門実践・特定一般・一般の3種類がある

名前は似ていますが、運営している省も、使える人の条件もまったく違います。まずは全体像を見てみましょう。

リスキリング補助金と教育訓練給付金の違いの比較表:運営、対象の人、退職後でも使えるか、転職が条件か、支援の額、雇用保険の加入期間
2つの制度のちがい(タップで拡大できます)

⚠️ 同じ講座で2つを同時に使うことはできません

リスキリング補助金は、国が支出する同じ目的の制度とは併用できないとされています。同じ講座で両方を受け取ることはできないので、「どちらか一つ」を選ぶことになります。

リスキリング補助金は「在職中」でないと使えない

経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、在職中の人が転職を目指して学び直すことを支援する制度です。事業の公式サイトでは、キャリア相談、講座の受講、転職支援までを一体的に受けられる仕組みと説明されています。

対象になる人(事業公式サイトのよくある質問より)

サービスへの登録時とキャリア相談の初回面談時に在職者であり、雇用主の変更を伴う転職を目指している人が対象です。

ここがいちばん大事なポイントです。会社を辞めてから申し込んでも対象になりません。この補助金を使いたいなら、退職日より前に、スクール(補助事業者)への登録と初回のキャリア相談まで済ませておく必要があります。

補助の金額は2段階

事業公式サイトによると、補助は個人に直接支払われるのではなく、スクール側(補助事業者)に支払われ、その分だけ受講料が安くなる仕組みです。

タイミング軽減される額
講座を修了したとき受講費用(税別)の1/2(上限40万円)
転職して1年間働き続けたことを確認できたとき追加で受講費用(税別)の1/5(上限16万円)

合わせて最大70%(上限56万円)です。ただし、追加分の「転職」は、その事業の中で行われた職業紹介による転職などに限られると公式サイトに書かれています。自分で見つけた会社に転職した場合は、追加分の対象にならない可能性があるので注意しましょう。

✔ チェック この事業は期限つきの事業です。受付状況や受講を終えるべき期限は、申し込む前にスクールに必ず確認してください。

教育訓練給付金は「退職後1年以内」でも使える

厚生労働省の教育訓練給付金は、雇用保険に入っている人、または入っていた人が、厚生労働大臣が指定した講座を受講したときに、受講費用の一部がハローワークから支給される制度です。

ハローワークインターネットサービスでは、退職した人でも、雇用保険の資格を失った日(離職日の翌日)から受講開始日までが1年以内であれば対象になると案内されています。リスキリング補助金と違って、退職後でも使えるのが大きな違いです。

講座の種類で給付率が変わる

種類給付の額雇用保険の加入期間(初めて使う場合)
専門実践教育訓練50%(年間上限40万円)。資格取得などをして就職すると70%、さらに賃金が5%以上上がると最大80%(年間上限64万円)2年以上
特定一般教育訓練40%(上限20万円)。資格取得などをして就職すると50%(上限25万円)1年以上
一般教育訓練20%(上限10万円)1年以上

2回目以降に使う場合は、どの種類も加入期間が3年以上必要です。また、前回の受給から3年以内だと支給されません(ハローワークインターネットサービスより)。

⚠️ 専門実践・特定一般は「受講前」の手続きが必要

専門実践教育訓練と特定一般教育訓練は、ハローワークで「訓練前キャリアコンサルティング」を受けてジョブ・カードを作り、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格の確認手続きをする必要があります。申し込んですぐ受講を始めると、この手続きが間に合わないことがあります。

なお、スクールの講座が本当に給付の対象かどうか、どの種類に当たるかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で講座名を検索すれば確認できます。説明会で「給付金が使える」と言われたら、専門実践なのか、一般なのかまで確認しておくと安心です。給付率がまったく違うからです。

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退職を考えているあなたはどれが使える?

ここまでの条件を、今のあなたの状況に当てはめてみましょう。

退職を考えている人がどの制度を使えるかの判定フロー:在職中で転職を目指すならリスキリング補助金も候補、退職後1年以内なら教育訓練給付金、1年を過ぎたら原則どちらも対象外
どの制度が使えるかの早わかり(タップで拡大できます)

まだ会社に在籍していて、転職を目指しているなら、リスキリング補助金と教育訓練給付金の両方が候補です。どちらが得かは、講座の受講料、雇用保険の加入期間、転職の仕方によって変わります。

すでに退職しているなら、使えるのは教育訓練給付金です。ただし、退職から1年を過ぎると原則として使えなくなります。その場合は、ハローワークの公共職業訓練(ハロートレーニング)について窓口で相談してみてください。

スクールに申し込む前に確認したい4つのこと

説明会では良いことを中心に話されることが多いもの。申し込む前に、次の4つを自分で確認しておきましょう。

1
その講座が本当に制度の対象か
リスキリング補助金なら事業公式サイトの「補助事業者を調べる」で、教育訓練給付金なら厚労省の教育訓練講座検索システムで、スクール名・講座名を確認できます。「スクールが対象」でも「その講座が対象」とは限りません。
2
自分が条件を満たしているか
リスキリング補助金は「在職中であること」、教育訓練給付金は「雇用保険の加入期間」と「退職後1年以内か」がポイントです。加入期間が分からなければ、ハローワークで「支給要件照会」をすれば教えてもらえます。
3
いったん全額払う必要があるか、実際の負担はいくらか
教育訓練給付金は、受講料を自分で払ったあとにハローワークから支給される仕組みです。「最大〇%」は条件をすべて満たした場合の数字なので、修了だけした場合にいくら戻るのかも計算しておきましょう。
4
「〇か月目から案件獲得」は目標か、約束か
「入会2か月目から1件数千円の案件獲得を目指す」といった説明は、多くの場合「目標」であって収入の保証ではありません。どのくらいの人が実際に達成しているのか、具体的に聞いてみましょう。

⚠️ 失業保険を受け取りながら案件を受けるときは申告が必要

退職して失業保険(基本手当)を受け取っている間に、スクールの課題や副業で報酬を得た場合は、失業認定申告書で必ず申告します。申告しないと不正受給になるおそれがあります。継続的に仕事を受けていると「自営を始めた」と判断されることもあるので、受ける前にハローワークに確認すると安心です。くわしくは失業保険の受給中にアルバイトはできる?4時間ルールと申告の方法で解説しています。

よくある質問Q&A

Q. 退職してしまったら、リスキリング補助金はもう使えませんか?

A. 事業公式サイトでは、サービス登録時と初回面談時に在職者であることが条件とされています。退職後に新しく申し込む場合は、教育訓練給付金が使えるかを確認しましょう。

Q. パートや契約社員でもリスキリング補助金は使えますか?

A. 在職者であることと、雇用主が変わる転職を目指していることが条件です。雇用形態の扱いはスクール(補助事業者)に確認してください。

Q. 教育訓練給付金と失業保険は同時にもらえますか?

A. 教育訓練給付金は受講費用に対する給付なので、失業保険とは別の制度です。ただし、受講中も失業保険をもらうには認定日にハローワークへ行くなど、通常のルールを守る必要があります。

Q. 退職する前にやっておくべきことは?

A. リスキリング補助金を使いたい場合は、退職前にスクールへの登録と初回のキャリア相談を済ませておきます。退職全体の準備は退職を決めたら在職中にやることにまとめています。

それでも一人では不安な方へ

ここまで読んで、「制度が多すぎて、自分がどれを使えるのか分からない」「スクールの説明が本当なのか判断できない」と感じている方もいるかもしれません。

制度の名前も条件もややこしいので、迷うのは当然です。大事なのは、申し込む前に一度立ち止まって確認すること。焦って決めなくて大丈夫です。

セルフ退職サポートでは、退職の進め方と合わせて、退職後の雇用保険や給付金の使い方についてもLINEで無料相談を受け付けています。「スクールに通いたいけど、いつ辞めればいい?」といった相談も気軽にどうぞ。

まとめ|補助金を使うなら「辞める前」に確認を

  • スクールの受講料に使える国の制度は主に「リスキリング補助金(経済産業省)」と「教育訓練給付金(厚生労働省)」の2つ
  • 同じ講座で両方を使うことはできず、どちらか一つ
  • リスキリング補助金は、登録時・初回面談時に在職中であることが条件。退職後の申し込みは対象外
  • 教育訓練給付金は、退職後でも離職日の翌日から1年以内に受講を始めれば対象になり得る
  • 専門実践・特定一般は、受講開始日の2週間前までにハローワークで手続きが必要
  • 講座が本当に対象か、自分が条件を満たすかは、申し込む前に公式の検索システムやハローワークで確認

新しいことを学びたいという気持ちは、次の一歩を踏み出す大きな力になります。制度を上手に使って、納得できる形で新しいスタートを切ってください。一歩踏み出す勇気を応援しています。

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